人事異動の季節 ・山下飛び と 川口飛び 「 組織を変えるには、人を変えよ」
人事移動の季節。自分に関係ない会社や役所の人事は「ひとごと」よ呼ぶのがふさわしいが、なかには注目すべきものがある。中部電力のトップ人事もその一つだ。60歳の川口文夫氏が末席の常務から、いきなり社長に抜擢された。取締役になってから、4年足らず、副社長など上席役員16人(自分を含)を飛び越しての就任だ。電力10社で最年少。
「次の次」と見られていたが一世代を飛ばして約2万人の頂点に立つ。ごぼう抜き人事の前例は24年前、松下電器産業、松下幸之助氏の指名で序列25番目の平取締役からの社長就任があった。東京五輪の体操で飛び出した「ウルトラC」と同じ「山下飛び」と言われた。山下氏は9年間社長を務めての自らの抜擢を解説した出版書「大企業病」は松下を荒療治するためのトップ人事だったと言う。中部電力の「川口飛び」も狙いは変わりあるまい。
電力の自由化など業界の激しい変化の時代「思い切って若返りを図って会社を変えないといけない」と安部浩平会長が語れば、川口氏は「第二の創業期と思っているので、会社を変えたい」と受けた。組織を変えるには、人を変えよ。これが鉄則である。
(中日新聞朝刊「中日春秋」より)
|Posted 2006.8.5|