よく守り、よく攻めよ
失われた10年に対する反動か、経営者の心情も最近になってようやく変わってきた。ソニーの出井伸之会長に代表されるように「もういかに生き残れるかではない。いかに勝ち抜くかという姿勢に切り替える必用がある」守りから攻めへのシフトが強調される。もともとマネイジメントは、攻めながら守り、守りながら攻めるところにある。
守りか攻めのどちらかに、一方的に片寄ることは、実に危険なのだが、90年大は余りにも守り一方に徹しすぎた、しかし、心ある経営者たちは、ようやくここにきて気を取り直したのではないか。「攻撃は最大の防御である」ことを、改めて思い出した。つまり、守りから攻めの経営に転じてこそ、企業の明日が保証されるのである。
リストラの追われている企業の中で「今は守り。辛抱のときだ」と言う経営者がいるが、こうしたしせいでは前途多難であろう。日産のカルロスゴーン社長を日本の経営者が見習うべきは、ゴーンの手法、つまり攻守のコンビネーションであろう。
最初の三ヵ年計画では徹底した守りをやり、次の三ヵ年では攻めに転ずる。そのタイミングが小気味よい。日本経済が再生するには「ゴーンに出来て、我々日本人が出来ない理由はない」と、多くの企業家が確信に満ちた気概をもたなければならない。
(JAL月刊誌Agora・8月号)
|Posted 2006.8.5|