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本来の「日本のこころ」にたちかえり、この国をつくりなおさなけれえばならない

この国のつくり直しにあたっては、制度やルールを対症療法的にいじるだけでは話になりません。また、過去の遺産を懐かしく思うだけでは何もすすみません。戦後、経済成長を追及し続け、物質的な豊かさに価値観を置いて来ましきましたが、内面的な「日本人のこころ」をしっかりと確立しなおすことなしに、この国のつくり直しは期待できないと考えます。「日本のこころ」はをわが国に根付かせることが不可欠であること考える次第ですが、ポイントは次の4点に集約されます。
わ:和の精神
勝ち負けだけをきわめる、あるいは何事にも損得ばかりにこだわるのではなく、競いつつも相互の個性を尊重し、「和え物」のごとく第三の風味をうむような、積極的な「和」を示します。「足るを知るこころ」もここにつながります。日本部8んかの特徴である「柔軟性」もこの範疇に入りますし、そうであることかこそ多様な価値観を認め、色々な文化や考え方と調和しながら「共生」してゆけるとおもいます。そこから「おかげさま」の気持ちも自然に出てきます。
れ:礼節を尊ぶ
「礼」とは、社会の秩序を保つための生活規範であり、「けじめ」、「自己抑制」、「謙虚」をあらわします。また、人に不快感を与えず、尊敬されるようなしぐさのことを言い、他を敬い、尊敬の念を持つ心が必要であります。
せい:誠のこころ
「まこと」、「誠実」なことを言い、「信頼」、「人を欺かない」ことを表します。「偽りない、かざらないこころ」、「善悪を分別するこころ」、そして「謙恥」、すなわち、欲心がなく不正を強く恥じるこころを持っていなければなりません。
ぎ:義を重んじる
「利を見ては義を思う」という言葉が論語にあります。これは、利益を追求するときは常に「義」を念頭において行え、という考えもあり、道徳観・倫理観がなければ、いくらルールがしっかりしていようが、万全ではないということを説いています。
明治を代表する実業家の渋沢栄一は、道徳とビジネスの関係を「論語とそろばん」といいました。こえは、「車に、両輪が必要なごとく、単なる利益追求の一輪車では走れないし、永続きしない。道徳というもうひとつの輪を備えた上での利潤でなければ、多くの人の信頼は得られないし、真の繁栄もあり得ない」ということを簡潔に表しています。三井物産の創始者である益田 孝の「士魂商才」という言葉もあり、わが国のビジネス界にも「義」を重んずる考え方が強くありました。 以上のように、「日本のこころ」を4点に集約し、その頭文字をとって覚えやすいように、『わ・れ・せい・ぎ』 とまとめました。
(中部経済同友会が2002年から2003年度にわたり、数々の講演会や委員会の活動成果をまとめた冊子から)

 |Posted 2006.8.5|