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「恋の季節はいつ?」  日本気象予報士協会元会長・石井和子氏

中緯度温帯地域にある日本では四季の巡りが美しい。地球が23.4度傾きながら太陽のの周りを回っているからこそ、この偶然の賜物である。私は時々学生たちに個人的にはどの季節が好きか、もし恋人とデートするならいつが好きか?と、たわいのない2つの質問をしてみる。

先日の結果は、冬が24%とやや多く、次いで夏と秋は大差がなく、春と答えた人は13%と一番少なかった。花粉症に悩まされるので春を辛い季節と書いた学生が多い。春の芽吹きや、夏の太陽のもとの海や山でのスポーツ、秋風や紅葉、さらには冬の朝のぴりっとした空気、夜空の美しさに若者なりの季節を実感していることが分かった。季節の変わり目が好きと答えた人も何人かいる。

さらにデートするにはどんな季節が良いかでは、冬が63%と圧倒的に多い。クリスマスやバレンタインをはじめ恋人向けの行事も多く、イルミネーションもロマンチックで、スキーにスケートにと、冬は一番人気の高い季節となっている。そしてここでも春は人気が少なく、夏とともに10%足らずであった。

15年ほど前に同じような質問を、赤坂見付駅で待ち合わせていた人達にしたことがあった。この時は春と秋とが半々で、春は「これから何かいいことがありそうで浮き浮きしてうれしい」秋は「人恋しくなるから」とのことであった。昔から春は恋の季節と言われてきた。平安時代、秋は厭きに通じて恋が余りうまく行かないと思われていたふしがり、不毛の季節でもある冬の恋も、源氏物語の匂宮と浮舟の場面ぐらいしか私には思いつかない。現代の恋人たちにとっては冬が恋の季節と言えそうだ。(2015.12.02.日本経済新聞「明日への話題」から)

 |Posted 2015.12.4|