人材育成に力を注ぐ韓国企業 三洋電機株式会社 代表取締役会長 井植 敏
韓国についてですが、先日、私は韓国のサムスングループにお招待をいただき、サムスングループが、新しくソウルの南山と言う高級住宅街に美術館のセレモニーにお出席したしました。一棟目は韓国の代表的な美術品(国宝28・重文80)、二棟めは近代美術館、三棟目はこれからの若い人達に、美術を勉強してもらうための美術館だそうです。
オープンセレモニーで会長の挨拶は、 この美術館の目的はアジアの美術はどんな美術であるかを、世界中に発信する基地であり、なおかつ欧米の美術と融合する場所である。セレモニーの後でサムスン電子の工場見学がありました。私(三洋電機会長)は、1969年〜1975年までの6年間、サムスングループとの合弁会社をつくりその仕事をしていました。
工場へ行ったら、私たちが当時建てた建物は跡形もありません。その次の時代の建物もなくなっています。今は、第三世代の建物に変わっていますが、さらに、第四世代の建物を建てようとしています。現在建設中の建物は35階建てで、研究開発に全力を注いでいくという施設です。サムスン電子も世界戦略を大変積極的に進めている会社です。
サムスン電子が人材開発に投資する金額は研究開発費とほぼ同じといわれています。サムスン電子の入社テストは18倍、初任給は日本と殆ど同じです。韓国は人件費が安いから、よくもうけていると思ったら、それは大きな勘違いです。サムスン電子は、社員に対してどの会社にも負けない優遇政策をとっておられました。
今回、行ってみて、教育問題で教えられたこと一つあります。サムスングループでは、三・八・六世代の人たちを、これから教育をしなおしていくということだそうです。三は、30代の人達、八は1980年代、韓国で学生運動が激しかった時代に、学生生活を送り勉強していないひとたち 、六は1960年代生れの人達。この人達がこれからの韓国を担っていく。この人達に積極的に知識を与え、勉強をさせなければならないというのが、今の方針だそうです。
韓国の中でも、サムスングループがずば抜けているのだと思いますが、やはり常に謙虚に、社員全体が必死になって勉強している姿を、我々も多いに参考にしていかなければならないと思います。国を代表する企業に共通することは、人が中心であると言うことです。この人をいかにうまく育てるかどうかによって、企業はその成績も決まってくるだろうと思います。
このホームページ作製者の感想 : 2004年11月にサムスン電子の「人力開発院」へ案内をして頂いた。一般の人は入れませんが、縁があって、人力開発手法の一部分と、教育現場をみる事ができました。とてもすばらしい理念をもって、一般社員から、管理職まで教育し、それに、COO・CEOまでも育てられる能力を有する【人力開発院】でした。
JAL月刊誌V・OL53:2005:01号から
|Posted 2006.9.4|