日中の壁を越えた夫婦愛
第2次世界大戦の最後「日中の壁を越えた夫婦愛」の映画の挨拶をさせていただきます。中国最後の皇帝の弟、溥傑(ふけつ)と日本人妻の浩(ひろ)が支え合い、時代の荒波に立ち向かった実話をドラマ化した放送が3年ほど前にありました。中国清朝の“ラストエンペラー”溥儀の一歳違いの弟・溥傑は辛亥革命で清朝滅亡後、成人して日本に留学。その直後に日本の関東軍が中国北部で満州事変を起こして「満州国」建国。溥儀を皇帝に据えました。
溥儀は士官学校を経て、日本陸軍に入隊しましたが、満州支配を強めたい関東軍は、皇帝一族と日本女性との「政略結婚」を画策・そこで、嵯峨野公爵家の浩(ひろ)に矢を立てました。日中の戦況悪化のなかで満州に渡った浩は、日本人嫌いの溥儀に心を痛めながら、誠実で穏やかな溥傑との愛を深め、二人の娘を出産しました。だが幸せは日本の敗戦で暗転して、引き裂かれた夫婦の流転の日々が始まりました。
この脚本は二人の自伝をベースに感動と涙の物語の作家「星の金貨」の龍居由加里さんが手掛けました。溥傑役は竹之内 豊さん、髪を刈り、常にメガネをかけて役つくり、せりふの半分は中国語をマスター。対する浩役は常盤貴子さん。撮影は東京都内の空き地に長さ120mのセットを組み、満州の町並みを作ったそうです。衣装や小物類もトラック5台分を中国から取寄せました。生き証人も多いので徹底してリアリテイーにこだわったそうです。3ヶ月かけた撮影は新型肝炎の余波で中国ロケが白紙にもどり大混乱しましたが、スタッフの活躍で代替地を確保、3日間の北京ロケも実現しました。
堂々たる紫禁城を借り切った収録は海外作品では、映画「ラストエンペラー」以来だったそうです。私は、若い頃に芝居にのめりこんでいましたので、非常に印象が残っているドラマです。隠れた話では、中国最後の皇帝「溥儀」を救うために、現在の各務原市の航空自衛隊基地から離陸許可を待っていた人がいたそうです。戦争責任を論じられることが多くありますが、心温まる話です。
|Posted 2007.8.15|