話の広場
blog

2022年7月10日の参議院議員選挙(産経新聞の抜粋)

2022年7月10日投開票の参院選には545人(選挙区367人、比例代表178人)が立候補し、令和元年の前回参院選の370人(選挙区215人、比例代表155人)に比べ約1・5倍と大幅に増えた。政党要件を満たさない諸派が多数の候補者を擁立していることが背景にある。インターネットを駆使したり、特定の政策を前面に出したりして浮動票を取り込み、報道各社の調査では議席獲得が視野に入る団体もある。

「諸派乱立」の背景。今回、比例代表に届け出た諸派は「幸福実現党」「ごぼうの党」「参政党」「日本第一党」「新党くにもり」「維新政党・新風」の6団体だ。初挑戦の参政党は全45選挙区に候補者を擁立し、比例代表には5人が出馬。自虐史観からの脱却など保守的な政策を訴えて街頭で多くの聴衆を集め、平成25年解禁のネットを使った運動も活発だ。比例代表での1議席獲得も視野に入れる。同じく初参戦で複数の芸能人が支持を表明するごぼうの党も11人を擁立。幸福実現党は選挙区と比例代表合わせて12人を立てる。

「諸派乱立」の背景について麗澤大の川上和久教授(政治心理学)は、「3年前の前回参院選で『NHKから国民を守る党』(現NHK党)やれいわ新選組のようにムーブメントを起こし、議席獲得に結びつける手法をまねようとしている」と分析する。令和元年の参院選でN党は、NHKを批判するワンイシュー(単一争点)で受信料に不満を持つ有権者らの支持を得て比例代表で1議席を獲得。政党要件に必要な得票率2%も超えて国政政党になった。今回は82人も擁立している。元タレントで知名度の高い山本太郎氏が代表を務め、消費税廃止を訴えたれいわも前回、比例代表で2議席を獲得して国政政党に躍り出た。

諸派の活動が活発化したのは、昭和58年参院選での比例代表制導入がきっかけになったとの見方がある。それまでは無所属でも「全国区」で立候補できたが、制度導入により無所属での出馬ができなくなり、政治団体から立候補するケースが増えた。同年参院選では「サラリーマン新党」や「福祉党」などの政治団体が議席を得た。

の後、既成政党への不信感の高まりなどから「ミニ政党」ブームが起こり、平成元年参院選では、40の政党・政治団体から最多の670人(選挙区285人、比例代表385人)が立候補した。ブームは4年12月の公選法改正で立候補に必要な供託金が引き上げられて沈静化。自民党と旧民主党の「二大政党制化」も進み、諸派が割り込む余地を狭めた。

今回は旧民主党勢力などの野党共闘の足並みに乱れが生じる中での参院選だ。野党が政権批判の受け皿になりきれない中、諸派による擁立が相次いだとみられる。筆者の川上氏は「立候補者の増加は有権者の選択の幅が広がり、投票率の向上につながる」と歓迎する一方、有権者側からも積極的な情報収集が必要との見方を示している。(2022年7月7日産経新聞ネット版から)

 |Posted 2022.7.7|